旅と食堂の記憶。魯肉飯

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旅。
特に、ひとり旅に魅せられた人なら、経験あるでしょうか。
歩き疲れて、天気も悪くて、お腹はぺこぺこ。
言葉も分からない。
徐々に辺りが暗くなっていく。
「どうしよっかな」・・・そんなとき。
ふと、湯気が元気に立ちこめているのが目に入ってくる。
3人くらいの女性が切り盛りする、食堂。
床が、ぴかぴかに磨かれている。
丸見えのキッチン。丁寧に下ごしらえしてあるのが見える。
決しておしゃれではないけれど、コップや食器も、きれいに並べ重ねられている。
ところどころに、女性らしさを感じる小さな食堂。
注文の仕方も分からないけれど、
目が合うと、「あなた、言葉が話せないのね」という顔を一瞬だけしてから
「何か適当に」見繕って出してくれる。
そして、出してくれるごはんは、当たり前のように美味しい。
彼女たちは、給仕で目の前を横を通り過ぎるたび、
思い出したように
「美味しい?」とにっこり微笑んでくれる。
食堂の名前も分からないけれど、
ガイドブックに載るような、特別な何かがこしらえてる訳でもないから
友達に教えるわけでもない。
けれど、元気そうに立ちのぼる湯気と、
彼女たちの笑顔が、旅の大切な記憶となっていく。
もっと言葉が話せたらいいな。
「美味しかった、また来るね」
「この野菜は何て言うの? 初めて食べたけど、とても柔らかいね」
伝えたいことはたくさんあるのに。
そんな風に思いながら、お店を後にする。
これは、私が台北に来て、初めてひとりで食べた夜ごはんの記憶。
私は相変わらず、その食堂が恋しくなって
ごくたまにお邪魔している。
相変わらず言葉は話せないけれど、
そんなこと、関係ないみたいに、彼女たちは笑いかけてくれる。
ちなみにそのお店は、
とても美味しい魯肉飯を出してくれる。
▼魯肉飯(大)、青菜炒め、スープで135元。
魯肉飯 台北
【魯肉飯】
台湾を代表する大衆料理。
豚肉の、脂身多めの部位を細かく刻み、
醤油ベースの甘めのたれで長時間煮込み、
脂の溶け出したたれとともに、ご飯にかけたもの。
臭みを消すためか、
お店によっては、八角がピリッと効いていたりもします。
(台湾料理には本当によく八角が使ってあります)。
安価でボリュームもたっぷり。ご飯が進む一品です。
台北では至るところに魯肉飯のお店があり、
お店ごとに味が違うので、自分好みのお店を見つけるのも楽しそう。
一時期、『鬍鬚張(ひげちょうるろうはん)』という
ヒゲのおじさんがトレードマークのチェーン店が
日本にも進出していたので、記憶にある方もいらっしゃるかも知れません。
今でも、金沢を拠点に通販などで頑張っておられるようなので、応援したいと思います。
http://www.higecho-ishikawa.jp/

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