NHKスペシャル取材の裏側:放送されなかった健康保険署署長・李伯璋氏へのインタビュー

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ことの起こり

3月13日、NHKスペシャルの取材のため、台湾の衛生福利部に所属する中央健康保険署および同署署長の李伯璋氏へのインタビューへ伺いました。

取材前日の12日にインターネット上でマスクが予約購入できる「マスク販売実名制度2.0」がリリースされたばかりで、しかもすさまじい数の予約購入が殺到したため同署は大忙し。

そんな中でも取材を受けてくださったのは、NHKという国際的に信頼の高いメディアと、そしてもうひとつ、台湾のデジタル大臣オードリー・タンさんサイドが繋いでくださったというご縁からでした。

結果的には、取材時から疫病の感染が世界中でどんどん深刻化していったタイミングでしたので、放送内容は変更になり、残念ながら私が健康保険署を取材させていただいたパートは全カットとなってしまいました。

それでも台湾の新型コロナウイルス対策について、台湾の中央感染症指揮センター(新型コロナウイルス対策本部に相当)の責任者・陳時中衛生福利部部長(厚生労働大臣に相当)のインタビューが放送されました。

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台湾の中央感染症指揮センター(新型コロナウイルス対策本部に相当)の責任者・陳時中衛生福利部部長(厚生労働大臣に相当)


台湾の今回の素晴らしい防疫体制は日本でも知られてきているところだと思いますが、この非常時に取材させていただいた内容が一切ご紹介できないのは残念すぎると思い、取材を通して健保署やオードリー・タンさんのオフィスから教えていただいた内容を、各所に許可をいただき、こちらでご紹介させていただきたいと思います。

番組情報

NHKスペシャル「“パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~」
初回放送:日本時間2020年3月22日(日) 午後9時00分~10時05分(NHK総合)
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20200322_2

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台湾の「マスク販売実名制度」を丁寧にご紹介いただいたNHKスペシャルさんには感謝です!
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今最も世の中が必要としている情報を集めて編集して伝える、日本のコンテンツ制作の質の高さを誇らしく思いました。

まず、台湾の健康保険制度について

(この辺りはおさらいなので、ご存知の方はスキップしてくださいね。)

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現在の台湾の健康保険証は既にIC対応しています。出典:健康保険署のFacebookページ

台湾はいまだにWHOの会員ではないにも関わらず、1995年3月から「全民健康保険」が導入され、国民は生まれると同時に加入するよう義務付けられています。

2008年にアメリカのテレビ番組が、イギリス・台湾・ドイツ・スイス・日本の五カ国それぞれの医療保険制度を比較し、台湾はICチップ付きの健康保険証、政府による医療サポート費用がアメリカの倍であること、国民の満足度の高さなどが取り上げたこともあるくらい、台湾の健保は保証の手厚さで知られています(私や子どもたちもその恩恵に預かっています)。

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健康保険署の年間レポートによれば、2019年時点での加入者の満足度は89.7%。

新型コロナウイルス対策で活躍する健康保険署

そんな健康保険制度を管轄する台湾の「健康保険署」は、衛生部(厚生労働省に相当)直属の組織。今回の新型コロナウイルス対策で、「マスク実名販売制度」と、「健康保険証への渡航歴データ紐付け」の実行を担っています。

2月3日に行政院が「マスクは実名制のもとで政府が販売する」と決めた直後、わずか3日の開発期間を経て、2月6日にリリースされた「マスク実名販売制度」。

マスクの国外輸出を禁じつつ、国内生産される全てのマスクを政府が買い上げてから国民へ販売するというもの。
販売拠点は国民健康保険の特約薬局や保健所のみに限定し、購入の際には国民健康保険証(IC付きで本人確認できるため、台湾では身分証としても使われている)が必要となります。一人当たりの購入枚数も制限されています。

「マスク実名販売制度1.0」

「マスク実名販売制度」にはバージョンがあり、次々にアップデートされています。
最も早期に実施されたのが、健保特約薬局や保健所での販売で、バージョン「1.0」と呼ばれています。

最も初期は一週間に大人は2枚などと購入できる枚数が限られ(医療従事者やバスやタクシーの運転手はもっと多めです)、薬局前には購入のために行列ができるようになりました。

「マスク実名販売制度2.0」

仕事などの都合で平日などに並んでマスクが購入できない人のためにリリースされたバージョン「2.0」は、インターネット上で先にマスクを予約購入でき、コンビニで受け取れるといったもの。

その後も実名制によるマスク販売は、一回に購入できる枚数が増やされたり、各所にマスクの自動販売機が登場するなど、日々目覚ましい進化を遂げています。

健康保険証に渡航歴データを紐付け

台湾の健保が使える医療機関では、通常診察を始める際、まず医師がカードリーダーに健康保険証をかざし、患者さんの情報を確認できるようになっています。「医療情報クラウドシステム」によって、過去三年以内の

  • かかった医療(歯科医や健保対応の漢方医含む)記録
  • 処方された薬の記録
  • 手術記録
  • 入院記録
  • 薬品アレルギー記録
  • CTやMRIなどの各検査結果
  • リハビリ医療記録など

異なる医療機関のものもすべて記録され、診察の際に参考にできるようになっています。

今回、その情報に新しく「新型コロナウイルスで渡航警戒レベルが高い国への渡航歴があるかどうか」が追加されました。

実際にオペレーションを見せていただいたのですが、医師が日々更新される様々な国の渡航警戒レベルを覚えなくても良いよう、カードを挿すだけでアラートが出てくるようになっていました。

健康保険署へ。

前置きが長くてすみません。
そんな国民の健康の要となっている健康保険署に、お伺いさせていただいたのでした。

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台湾の衛生福利部に所属する中央健康保険署が入ったビル。台北の街の中心部にあります。

前日12日にインターネット上でマスクが予約購入できるようになった「マスク販売実名制度2.0」がリリースされたばかりで(しかもアクセスが集中して大変なことに…)、同署はかなり緊張感あるムード。

マスク1.0、マスク2.0、そして渡航歴データを担当する部署を見せていただいた後、署長室へ伺いました。

職場は若い方も多く、男女ともにテキパキ働いていらっしゃる感じでした。ちなみにこれらを担当されるチームのリーダーは女性の方でした。そして、情報を扱うチームのスタッフは全員がITをバックグラウンドに持つ方だと教えてくれました。

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情報チームのオフィス。

今回のマスク実名制販売や渡航歴データ紐付けは急遽実施されたため、普段の業務と関連性の高い部署が割り当てられたそうです。

注目すべきなのは、もともとこちらの健康保険署があらゆるデータのオープンデータ化を推進していた点でしょう。そこに、マスクの在庫という新しい項目が追加されただけで、本来かなりの情報がすでにオープンデータとして公開されていたのです。

こちらの「健康保險資料開放服務(健康保険データ開放サービス)」ではあらゆるオープンデータが掲載・更新されています。

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こちらは健保特約機関のマスク在庫データ。3分ごとに最新のデータに更新され、誰でもcsv形式で無料ダウンロードできる。

今回、健保特約薬局でのマスクの販売は、公益のために彼らが政府に協力する形で新しく追加された業務で、この非常事態に協力した形となっています。

李伯璋署長が語ってくださったこと

署長室は医学関連の書籍や新聞で溢れていて、李伯璋署長が今でも医学界と深い繋がりのある方なのだということを感じさせる空間でした。

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李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。2018年に公務員貢献賞を受賞され、蔡英文総統から表彰された時のもの。

かなりの緊急時にも関わらず、李伯璋署長は私たち取材スタッフを和やかな笑顔で迎えてくださり、今回の健康保険署が新型コロナ対策で実施した「マスク実名販売制度1.0と2.0」、それに伴うマスクマップがどのように生まれたか、そして「渡航歴データの健康保険証への紐付け」についてお伺いしました。

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インタビュー時の中央健康保険署の李伯璋署長

ーー今回のマスク実名販売制度では「マスクマップ」が話題になりました。これが実現できたのは、健康保険署の扱うあらゆるデータがもともとオープンデータ化されていたことが大きいように思います。

「台湾の全民健康保険は、民衆一人ひとりが加入するものです。まだまだ改善の余地はありますが、民衆に最善の医療を提供するための制度です。
もともと私個人の信念として、民衆が必要としている情報を伝えたいという思いがありました。情報は透明であればあるほど良い。あるものはできる限り公開する、ということです。例えば医療制度の財務状況もそのひとつです。どこから来てどこに使われているのか、データをもって民衆に伝えることが大切です。」

ーーITの活用はかなり進んでいらっしゃるようですね。
「民衆が医療機関でより良い医療を受けられるよう、効率よく整えることが必要でした。そこで推進されているのが『分級醫療(グレードごとに分けて行う医療)※』です。

そしてそれを支えるのが『医療情報クラウドシステム(中国語名:健保醫療資訊雲端查詢系統)』。医療機関にかかった情報がすべてクラウド上で見られるようになっています。これによって検査の重複なども避けられます。

ただしプライバシーの確保のために、患者さんの健康保険証、医師本人のカード、医療機関のカード三つの条件が揃わないと見られないようにしています。
こうして医師が得られる情報が増えることにより(例:家族の病歴など)、より良い医療を提供することができます。」

※『分級醫療(グレードごとに分けて行う医療)』
地域や区域の病院が第一線に立ち、風邪や軽傷などに対応し、大病院はそれらで処理できない重症患者の治療や、そのための医学研究に当たるといったような概念。

ーー今回のマスク実名販売制度では、なぜ健保特約薬局がその拠点として選ばれたのでしょうか?

「もともと台湾は流通しているマスクのほとんどが輸入に頼っており、この疫病に対応できるだけの量が確保できないだろうということになりました。そこで政府が買い上げ、実名制で販売することにしたのですが、コンビニやスーパーなどでは対応が難しい。

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台湾の身分証はIC対応していないのですが、健康保険証は対応しています。さらに、健康保険の特約薬局は、薬の販売の際に健康保険証をカードリーダーに挿し込んで患者のデータを読み取り、記録していました。彼らは医療についての知識もある。販売拠点として最適でした。

ただ、マスクの販売は彼らの本来の業務ではありません。あくまで政府に協力してくれているという立場なので、薬局に対して販売時間を強制するようなことはできません。そこで活躍したのが、日本でも話題になった『マスク在庫マップ』です。こちらが薬局と提携してマスクの在庫をオープンデータとして解放すると、オードリー・タンデジタル大臣が民間のIT人材たちとともに、様々な形でマップにしてくれました。」

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オードリー・タンデジタル大臣率いる民間のシビックハッカーらが開発したマスク在庫マップ。マップやbotなど、様々な形で応用された。現在はマスクが安定して供給されるようになったため運用を終了。

「マスク在庫マップ」について私から補足。

このマスクマップはもともと、台南の「好想工作室」創業者のHowardさんというエンジニアが、新型コロナウイルスの流行でマスクが少なくなってきていることを感じて自発的に作ったものでした。そこに、オードリー・タンさんのサポートのもと、健保署が作った各マスク販売拠点の在庫のオープンデータを繋ぎこんで完成したのが現在のマスクマップです。

台湾のマスク在庫マップを作った民間のエンジニア「好想工作室」のHoward氏とオードリー・タン氏。
台湾のマスク在庫マップを作った民間のエンジニア「好想工作室」のHoward氏と、オードリー・タン氏。(#The Taiwan Model: When Civic Technology Meets Open Dataより)

日本の報道ではオードリー・タンさんが作ったと報道されがちなのですが、健保署と民間のシビックハッカーたち、そしてオードリー・タンさんオフィスのバックアップによって実現した共同プロジェクトでした。
それに関して、NHKスペシャルのためにオードリーさんのオフィススタッフさんから寄せていただいたコメントがこちら。

「マスクをどこに買いに行けば良いのか分からない民衆のために、私たちのオフィスでは、健保署が健保特約薬局の位置やマスクの在庫データをオープンデータ形式でリリースするのをサポートし、もう一方で民間のシビックハッカーたちがこれらのデータをスムーズに取得し、それぞれの活用方法で開発するためのコラボレーションをしました。
すでに民間で100以上の応用方法が開発されており、この『口罩供需資訊平台(マスク需要供給データプラットフォーム)』は、私たちでその情報をまとめたものです。
今回のシビック・テックの実現は、完成度の高い健保制度と健保署の優秀なIT担当スタッフ、そして民間で自発的に参加を希望してくれるシビックハッカーらがいてくれたからこそなし得たことです。(オードリーさんのオフィススタッフ談)」

ーー素晴らしいシビック・テックとして日本でも話題になりました。

「そうですね。台湾の持つパワーが防疫の場で発揮されました。

『マスク実名販売制度1.0』の頃はマスクが足りていない状況だったので、民衆にどのように公平に情報を伝えるかということがとても大事でした。マスクマップにより情報が公平に伝えられたことで、民衆も政府の方針を受け入れてくれるようになりました。」

ーー民間とのコラボレーションにおいて、コミュニケーション上の難しさみたいなものはありましたか?

「個人的には、病人を診ている時と同じだと思っています。
異なる意見を交換しながら、最も効率の良い方法を考えることが大切です。一人ひとり違う見方があるのは当然のことです。
オードリー・タンさんが民間の素晴らしい力のある方々を引き連れてきてくれ、一緒にコラボレーションすることになった時、私はスタッフたちに言いました。『人生でこんなに人々の命にとって意味があることができる機会は何回もない』と。皆で一緒に問題を解決するという姿勢が大切です。」

ーー「マスク実名販売制度2.0」が昨日から実施されましたね。

「1.0ではマスクの購入のために、薬局で並ぶことが必要でした。ただそれだと平日の日中に仕事をしているような方々は買いに行くことができません。けれど彼らはスマートフォンは使い慣れている。

そこで時間が無い状況でもなんとか作り上げたのが2.0です。もともと普段からそこまでアクセスが集中しない我々のサーバーですのでそれなりに準備していたのですが、昨日はアクセスが20倍になり、サイトの動きが遅くなってしまいました。今はすでに対応できています。」

ーーそれでもかなり早いタイミングでリリースされたと思います。

「もともと私たちは『健康存摺(=健康手帳)』という、医療を受けた記録などをオンラインで確認できるというシステムを推進していました。

台湾の通信会社に認証されたスマートフォンでアプリをダウンロードすると使うことができて、2019年時点で登録者数は107万人ほどが登録してくれています。

この『健康手帳』では自分の記録のほか、保護者は授権された子どもの医療記録も確認できます。予防接種をいつ受けたとか、そういったことも分かるようになっています。
この仕組みがあったことで、2.0でも保護者がお子さんのマスクを買うことができるようになったんです。」

「健康存摺(=健康手帳)」についての紹介動画

ーー昨日2.0をリリースしたばかりというタイミングで取材に対応していただき、本当にありがとうございます。

「SARSの時にはみんな非常に悲しい経験をしましたからね。各部の部長たちは本当に実力のある方ばかりですし、一丸となって臨んでいます。」

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取材時に見せていただいた、マスク実名制販売の実施時間軸を説明するパネル。

ーー健康保険証で、渡航歴も見えるようになったんですよね。

「最近リスクのある場所へ行ったことがある場合、アラートが出るようになりました。」

ーー日本だと、政府に渡航歴を管理されることに批判の声も出そうです。

「それは民族性の違いかもしれませんね。台湾も通常はそのようなことはしませんが、今回は非常事態ですのでこの仕組みを作りました。
この状況で医師が渡航歴を知らずに診察した場合、診察を間違ってしまうかもしれません。渡航歴を知れば、そもそもの診察方法自体も大きく変わります。

また、感染していることが分かると隔離されるのが嫌で、渡航歴を隠そうという人がいた場合、医療現場には高いリスクが発生します。医師たちも自分で自分を守らなければならない。背景を知らない患者を診るというのは高いリスクを伴います。お互いに尊重し合わなければなりません。

国によって考え方は違うのが当然ですが、こだわりによって達成できないものがあるのではないでしょうか。」

李伯璋署長について

インタビュー後、李伯璋署長から著書を2冊もいただいてしまいました。しかもその場で直筆サインまで!
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『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』
博客來 https://www.books.com.tw/products/0010824983

『我們的一步一腳印』
博客來 https://www.books.com.tw/products/0010548119

なんと『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』は、インターネット上で全文が無料公開されていました。
http://www.nhi.gov.tw/resource/NHIb/II/index.html

李伯璋署長は、台湾では非常に知られた腎臓移植の専門家です。
台湾の内閣や各部(日本で言う省庁に相当)には、各所に医療のバックグラウンドがある方々がいらっしゃるんですよね。

著書のひとつ『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』の前書きでは、今、このコロナ禍の最前線で奮闘されている陳時中 衛生福利部部長(厚生労働大臣に相当)が前書きを寄せられています。

そこに書かれていたことをピックアップしてご紹介。

  • 李伯璋署長は2011年10月から臓器提供登録センターの董事長を務め、国内の臓器提供に尽力していた。
  • 2016年5月から健康保険署の署長に就任し、理解あるリーダーとして各界とコミュニケーションを取りながら、衛生福利部の推進する国家施策「分級醫療」に当たってくれた。
  • 健保は今「的確な医療」と「AI」の領域へと向かっている。

著書を拝読していると、関係者の皆さんの健康保険にかける思いや課題解決に挑み続ける歴史がひしひしと伝わってきます。

所々で出てくる見慣れた顔ぶれにもまた感動。



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台湾に国民健康保険ができた1995年、李登輝前総統。
写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。
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台湾に国民健康保険ができた1995年、1枚目のカードを李登輝前総統にお渡しした様子。
写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。

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蔡英文現総統とともにWHOに参加するための活動をされているお写真。写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。
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陳建仁現副總統が以前この健康保険署の署長だった頃のお写真、写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。



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5月20日に副総統に就任する賴清德氏(ハーバードで公衆衛生修士)も至るところで写真に写られています。写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。



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今台湾で支持率爆上げの中央感染症指揮センター(新型コロナウイルス対策本部に相当)陳時中衛生福利部部長(厚生労働大臣に相当)のお姿も随所に。写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。
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柯文哲台北市長のお姿(一番右)も。写真は李伯璋署長の著書『我們的一步一腳印』より。照片來源:『我們的一步一腳印』

医学をバックグラウンドにした方々が団結してこの事業に当られてきたことが伝わってきます。

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李伯璋署長は京都府立医科大学に留学経験があり、岡隆宏教授・当時の日本移植学会前会長(現名誉会長)から卒業証書を授与されたことは、日本で忘れらない経験となったと記載がありました。
日本とのご縁も深い方です。(取材時に少し日本語も話してくださって感激しました。)
写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。
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2019年に息子さんと京都マラソンに出場した時の写真も!今でも京都を好きでいてくださるのが伝わってきます。写真は李伯璋署長の著書『走向雲端 病醫雙贏:健保改革日記』より。

おわりに

著書の中で李伯璋署長は何度も「国民一人ひとりが、最も良い医療を受けられるように」と繰り返されていました。

李伯璋署長が健康保険署で改革を実施し続ける姿は私の眼に、
まるで医師が診察するときのように、データでどこが悪いかを見て、プランを立て、粛々と実行しているように映りました。それはまるで外科医が内科医や看護師や麻酔医たちとチームを組んで動くように。

以上、ものすごく長文にて恐縮です。
一人でもいい、誰かの心に何らかの引っ掛かりが残せたらと思い、ここに記録させていただきます!

李伯璋署長が外国籍の方がどうやってマスクを購入すれば良いか、流暢な英語で紹介してくださっている動画はこちら

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