『台湾にいても、私たちが日本で受けたような心を育む幼児教育を』ーー友人が開いた「みんなの家」のこと。

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台北で再会した大学時代のクラスメイト、美穂という友人がいます。
隣の机で勉強していたし、ノートをコピーさせてもらったし、ウエスティンホテルの一室でみんなで卒業パーティしたのがX年前…。
昔も今と変わらず、周りの友達の間でも大人気だった彼女。
その人気の理由はたぶん、真っ直ぐ誠実な性格と(とにかく人を裏切らない。下品なことを一切しない。お育ちが良いって本当にこういうことなんだな、と感心した田舎者の私。)、使命と情熱にあふれていつも未来を見ているから。

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そんな彼女が2019年、台北で「みんなの家」という補習班を開きました。

美穂と台北で再会したのは2011年、今から8年前のこと。
その頃のことをこのブログでも書いています。

▶︎女友達のおかげで、私が台湾で働き始められたと言っても過言ではない。

そんな長い付き合いの彼女が今年、台北で「みんなの家」という補習班を開きました。
特に積極的に生徒募集の広告などを行っていないので、この記事を書くのは宣伝のためではないのですが、
「彼女と話していることって台湾で子育てしているお母さんお父さんたちへの励ましになるのでは?」といつも思っていたので、この機会に改めて、ブログ用に話を聞いてきました!

ずっと前から幼児教育への志が

彼女は大学時代からいつもボランティアを積極的にしていたりして、お手本のような存在でした。
(その影響で私も小学校でダウン症のお子さんの付き添いをするボランティアをしたりしたことも…)

後になって分かったのは、世界中の貧困地域の教育を支援するようなお仕事をされていたお父様から影響された部分が大きかったということ。
大量の鉛筆を持って海外出張に出かけて行くお父様の姿を見ていて、自然と「あぁ、教育って当たり前に受けられるものじゃないんだ」と感じるようになったそう。

そんなわけで私と同じ大学を卒業後、彼女はアメリカの大学院で貧困地域における国際教育について勉強していました。
アメリカ滞在中も現地の日系やローカルの幼稚園でアシスタントをしたり、ベビーシッターのアルバイトをするなど、幼児教育の現場にずっと立ち続けた彼女。

アメリカで今の旦那様と出会い、結婚・出産を経て、旦那様のお仕事の都合で台湾へ移住したのでした。

彼女が「みんなの家」を開くまで。

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台湾式の幼児教育に、疑問

私と美穂がよく話していたのが、台湾の伝統的な教育方法について。

台湾の文化は尊重したいけれど、いざ我が子に受けさせる教育となると、やはり自分が受けて良かったと感じている日本式の教育を受けさせたくなります。

最も大きな特徴が、台湾式だと“先生と同じように、決められたものを決められた通りにできた子が評価される”けれど、日本では自主性や創造性を重んじた教育をされること。
私もいつも息子が幼稚園や小学校で先生から「塗り絵や工作はお手本と同じように」するよう指導されているのを見て、とても残念に思っていました。

私は約6年間、台湾の最高学府である台湾大学出身の超優秀な同僚たちと働いていて、頭のできの違いに落ち込んでいましたが、唯一私が頼りにしてもらったところがあります。それは「企画力」。
みんな、決まった方向性に向けて「実行する力」は凄まじいのですが、ゼロから企画を考えるのが苦手だったようです。
それはこういった教育が背景にあるのかな、と思ったりしていました。

「でもこれから実行する系の仕事はどんどんAIに取って代わられる時代。“自分の頭で考える力”がとても大事になってくるよね、でもここは台湾、私たちは外国人。教育制度を変えるなんて無理、できることは限られている。私たちは子どもたちに何ができるだろう?」

そんなことをいつも話していました。

日本の幼稚園と保育園、モンテッソーリ教育の教員資格を取得

学生時代から(私と全く違って)勉強が大好きな彼女。
なんと、通信教育で日本の幼稚園と保育園の教員資格を取得するために猛勉強を始めました。
そして見事、両方取得。

さらに、彼女自身が幼児教育に体系的な知識が必要だと考える領域の資格を次々に取得していました。

  • モンテッソーリ教育教員
  • 子どもの心理を読むチャイルドアートセラピーセラピスト
  • 花育士
  • 英語リトミック「Kindermusik」認定講師
  • 発達障害学習支援サポーター

資格取得後も機会を作ってアメリカの幼稚園でアシスタントをしたり、日本の幼稚園で働くなど、実践も積んでいました。

自宅で絵本読み聞かせや工作の教室を始めた彼女

資格を取得した彼女は、旦那様と息子くんの協力のもと、自宅を開放して絵本の読み聞かせや工作の教室「Children’s Discovery Place」を始めました。
材料費のみで儲けなし・休みなしでとっても大変そうでしたが、これが大好評。
日本語が分からない台湾人の保護者たちも噂を聞きつけて子どもたちを参加させていました。
(私も息子を何回も参加させました。息子は美穂先生が大好きです♡)

「みんなの家」が生徒3人からスタート。

自宅での絵本読み聞かせや工作の教室を約6~7年続け、そのお教室の保護者さんたちとの対話の中で、
「台湾の幼児教育はクライアントである保護者たちを満足させるためのものが多い。『これだけ英単語が書けるようになった』といったような表面的なことを追求するのではなく、子どもたちの豊かな成長を大切に育む場所がほしい」という気持ちが強くなっていったと言います。 そこで(台湾人でもものすごく大変な)補習班の設立手続きを経て、2019年台北に「みんなの家」をオープン。

生徒さんは3人からのスタートだったそうです。
(広告打っていないのに、一年経たずしてほぼ定員に達しているというからすごい!)

クリアしなければならない課題問題がたくさんあってものすごく大変そうですが、会うたびに「子どもたちが可愛くてたまらない、この場所ができて、この仕事ができて、本当に良かった」と話し、どんどん園長先生になっていく美穂の姿に、いつもものすごいパワーをもらっています。

彼女が「みんなの家」で大切にしていること。

子どもたちが主役

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「『みんなの家』で、いちばん嬉しいのはどんな時?」と聞いてみると、

「先生たちに言われてできるようになったことじゃなくて、その子自身の力で、開花した時かな。『絵が上手に描けた』みたいな目に見えやすいことより、『ありがとうやごめんねが言えるようになった』『手を挙げて発表できるようになった』とか、じわじわとその子自身のペースで力を溜めて溜めて、心から“こうしたい”と思ってそれができた時、私がたまたまそれを目にすることができた時は、嬉しいな。」と答えてくれた。

「みんなの家」では子どもたちが主役で、先生たちは環境を作って見守る存在。命令や干渉はできるだけしない。
声かけひとつとっても「〜しなさい」とは言わず、「今日は何するんだったっけ?」と伝えて、子どもに考えさせる。 だから、観察することがとても大切なのだそう。
ずっとじっと見守って、必要な時には助け舟やヒントを出して自立を促す。
これってとっても忍耐が必要で難しいことだけれど、私も自分の育児に取り入れられるところが多くて勉強になります。

教育方針
子どもたちには自ら成長する力が備わっています。
自分を大切にし、また他者を尊重する中で、思いやりの心、感謝の心を育みながら、「自立していて有能で、他者への思いやりと愛情がある人格」の形成を目指しています。

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出典:「みんなの家」入学案内より

教室のレイアウトは子どもに合わせて変える

「大人の目線で決めつけず、子どもの心の声を見る」という彼女。
実際、子どもの動線に合わせて棚などのレイアウトを頻繁に変更しているそう。

虫が好きな子がいたら、虫のコーナーを作るし、
恐竜好きの子のために、コーナーだって作る。

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「片付けなさい」ではなく、どうやったら片付けやすいか、観察して棚などを動かしてみる。 「子どもはこうである」という偏見をなくして、ピュアに観察することが大切なんだよ、と美穂。

モンテッソーリ教育のいいところを取り入れた、オリジナルの教育方式

代表の美穂はモンテッソーリ教育の教員資格を取得しているし、教室内にはモンテッソーリの用具・教具などは取り入れられているけれど、「みんなの家」は完全なモンテッソーリ教育ではないようです。

その理由を聞いてみると、
「モンテッソーリ、シュタイナーなどさまざまな教育があって、考え方も違う。それらのいいところだけ取り入れて、自分がやりたいと思っている教育をしたい」と答えてくれました。

「子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、本当にさまざまな人たちにとっての”家”にしたい」と話す美穂。実際、朝の通学時に「ただいま〜」と言ってくれるお子さんもいるそう。

例えば通常のモンテッソーリ教育にはない、子どもの自由な想像力を形にできるようなアートのコーナーを充実させているのも、彼女によるカスタマイズだそう。

2〜6歳までを対象とした「育ちのお時間(日本語)」

2〜6歳までの子どもたちが日中通えるクラス「育ちのお時間」はとっても素敵!
(私も自分の子どもを入れたい…涙)

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目の前にある緑豊かな公園へお出かけしたり
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教室内のモンテッソーリ用具・教具で遊んだり(写真はモンテッソーリではないですが)
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思い思いに自由に工作すると、ものづくりが好きになってくれそう!
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自然や生物のコーナーで観察したり。(写真は本物の花を使った花育クラス)
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00764/
世界の文化のコーナーや、絵本を愛する美穂、入魂の絵本のコーナー(400冊以上!)。絵本は借りられます!
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季節の行事、こちらは芋掘り遠足!
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収穫したお芋を観察しながら工作したり、収穫に感謝したり…
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「ごっこ遊び」も大好評だそう!
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子どもたちの「できたよ」を伝えるために大切にしているという「『みんなの家』のお便り」も見せてくれました。

花育や日本語など、スポットで開催されるクラスも!(日本語・中国語)

「通いは難しいけれど『みんなの家』に行きたい!」という子ども・保護者さんたちのために、単発のクラスも用意されています。

友人・まどかちゃんが担当している「文化・花育クラス(日本語)」は子どもたちに大人気!

美穂のところで花育士の資格を取得した友人まどかちゃん。
3〜6歳、小学生を対象に、日本の季節の楽しみや和の文化を学べる楽しいクラスを「みんなの家」で毎月開いています。

内容はどれもまどかちゃんオリジナル。毎月ごとに日本の文化や季節が感じられます。
こちらはクリスマスなどテーマによってはゲストとしても参加できるクラスもあるので、
「みんなの家」オフィシャルFacebookページをチェックしてくださいね:)

まどかちゃんが花市場に仕入れに行くというので、ついて行ってみると…

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花育クラス担当のまどかちゃん

「秋」をテーマにしたクラスのための買い出しに来たまどかちゃんは、二人の娘さんを持つお母さんでもあります。
というわけで、とても忙しいまどかちゃん、滞在時間は約40分ほど。すさまじい速さで花材を選んでいきます。

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花市場をぐるっと周り、すぐにテーマを実現させるための花材を見つけるのは、かなりのすご技!

今回の秋クラスでは、ぬくもりを感じられるような花材を多めに。
教室内にお花畑を作り、子どもたちがバスケットを持ってお花摘みやどんぐり拾いができるようにしたいのだそう(めっちゃ楽しそう!)。

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バスケット選びにもこだわりが。目はいつも真剣(女優さんみたいに美しくて、写真撮りながらうっとり…)

自宅に持ち帰った後も出来るだけ長く楽しんでほしいから、お花選びで大事なのは鮮度と質。

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子どもの手で持ちやすいか、オアシスに挿しやすいかといった点もポイントだそう。

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12月は大イベント・クリスマス!すでにたくさん申し込みが入っているからと、モミの木やクリスマス用の花材を予約するまどかちゃん。

「美穂先生には本当に刺激をもらっています。子どもができることに制限を設けないんです。『子どもにこれをさせてあげるために何ができるかな?』っていつも話しています」

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本日の買い出しの成果がこちら。「今日は少ない方で、クリスマスくらいの量になると車で3往復になるんです…」とのこと。

クラスでは、見本などは用意せず、子どもたちの好きなように、花材は好きなだけ使えるよう準備しているそう。

本物のフルーツを用意したフルーツ狩りや、桜の季節にお花見など、毎回楽しいクラスを企画している花育クラス、ご興味のある方はぜひー!

夏祭り、ハロウィン、クリスマスなど、季節のイベントも

クラス以外にも、「みんなの家」では季節の催しが開催されています。
詳細はFacebookページで告知されるので、チェックしてみてくださいね。
私も一家総出でお手伝いしたりしています。笑

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夏祭りの様子

以上、例によってかなり長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

いつも美穂やまどかちゃんと話していて、「これってすごく参考になるけど、私だけが聞いていていいのかな?」と思っていたので、この機会にご紹介させていただきました。

少しでも台湾で子育てに奮闘されている皆様のお役に立てたら嬉しいです!

おまけ

最近、「ニッポンドットコム」という多言語論壇サイトに「増加する日台国際結婚とバイリンガル教育のこれから」という、日台バイリンガル教育について寄稿させていただいたのですが、
そのカバー画像は、「みんなの家」の日本語クラスで撮影したものです!

増加する日台国際結婚とバイリンガル教育のこれから
撮影場所は「みんなの家」です!

「みんなの家」基本情報

  • 台北市松山區民生東路四段80巷3弄4號1F
  • 02-2715-0307
  • オフィシャルFacebookページ:https://www.facebook.com/mtdiscovery/
  • 定休:土日祝、春夏冬休み期間
  • 見学可能(電話にて要予約、見学は一回に1組まで)
  • 一時預かり実施なし
  • サマー/ウィンタースクール実施あり

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